発達障害の主なタイプとして、以下3つの種類があります。
(1)自閉スペクトラム症(ASD)
自閉スペクトラム障害は、他人との関わりやコミュニケーションに困難が表れる傾向があり、いわゆる「自閉症」や「アスペルガー症候群」なども含まれます。興味や関心が狭く、特定の物事や行動に強いこだわりが見られることもあります。
(2)注意欠如・多動症(ADHD)
注意欠如・多動性障害は、いわゆる不注意や衝動性・多動性などの症状が現れる発達障害です。「集中力がない」「忘れっぽい」「落ち着きがない」「衝動的に行動してしまう」などの特徴があります。幼少期から失敗経験が多く、自分に自信が持てず、不安やうつ病などの二次障害につながる場合もあります。
(3)学習障害(LD)/限局性学習症(SLD)
単に学習が苦手ということではなく、読む、書く、計算するといった特定の領域で、学習に困難が生じる発達障害です。知能の発達には特に問題がないことがほとんどです。大人になっても、仕事や日常生活で支障が生じる場面も少なくありません。
大人の発達障害の症状は様々であり、心療内科・精神科では患者様の状況に合わせた対応が求められます。
ADHDの症状は、以下の2つくらいの分野にまとめられます。
(1)不注意に関する症状
- 忘れ物・なくしものが多い
- 不注意・ミスが多い
- 優先順位がつけられない
- 約束が守れない
- 片付けが苦手
- 集中できない
(2)衝動性・多動性の症状
- 落ち着きがない
- 思ったことをすぐ口にしてしまう
- 突発的な怒りをコントロールできない
発達障害の主なタイプとして、以下3つの種類があります。
(1)社会性の問題
- 社会常識にそわない言動をしてしまう
- 時間やルールを守れない
- 共感性が低い
(2)コミュニケーションの問題
- 表情や身振りから相手の気持ちを理解することができない
- 言葉を額面通りに受け取ってしまう
- 冗談が通じない
(3)こだわり・創造性の問題
- 急な変化に対応できない
- 生活パターンが変えられない
- 興味がないことに関心が示せない
成人の受診者のうち、実に2割程度が「自分は発達障害ではないか」という悩みを抱えてメンタルクリニックを受診されています。当院では発達障害を総合的に診断するための「発達診断コース」を設けています。
発達障害とは、生まれつき持っている脳機能の障害により、考え方や行動で人と違う特性が生じ、社会生活において不適応が起きている状態です。
発達障害は生まれながらのもので、多くの場合は子供の頃から発達障害の特性が現れます。症状の程度は人それぞれですが、学生時代はちょっと変わった人、個性的な人と思われる程度で、特に大きな問題にならない方も多いようです。しかし進学や就職など、周囲の環境が変わることで特性が表面化するようになり、大人になってから発達障害に気づく方も少なくありません。
例えば仕事で同じ失敗を繰り返したり、周囲の人とうまくコミュニケーションが取れなかったりなど、社会生活の中で生きづらさを感じる方も多いようです。周囲からは本人の努力不足やわがままなどと決めつけられ、性格的な要因と誤解されやすい面があります。仕事や人間関係のストレスで悩みを抱え込み、うつ病や適応障害、依存症などの二次障害を発症してしまうケースも少なくありません。
最近では様々なメディアで大人の発達障害が注目されています。「自分も発達障害かもしれない」と精神科や心療内科を受診される方が増えています。